空想と執筆の間

趣味の物書きについてのブログ

【読書】感染/仙川環

昔購入した本を再読。

小説を三人称で書いていた頃に、同じく三人称でさらに医者が登場する小説が読みたくて買った本。

 

 

  • 作者の性別:女性
  • ジャンル:医療サスペンス
  • 人称:主人公視点の三人称
  • 主人公の性別:女性

 

タイトルと表紙からして医療ものらしかったから手に取った。

冒頭の数行に目を通したところ、外科医の男性が主人公の三人称だった(だと思った)。

裏の解説には「誘拐」「殺人事件」「医療サスペンス」の文字。

面白そうだから買ってみた。

 

冒頭に登場する男性医師が主人公と思ったのだが、2ページと数行で主人公交代。

死んだわけではなくて、ただ交代しただけ。

本当の主人公は男性医師の奥さんのほうだった。

 

奥さんの職業は研究医。

早々に主人公が交代してしまったが、まあいい。

奥さんも医者だし。

旦那だって登場するだろうし。

と思ったのだが、旦那のほうはあんまり出てきてくれなかった。

白衣着て医者の格好してたのは冒頭の2ページだけ。

その後は作中で一番何を考えてるかわからない人物となる。

 

奥さんはあまり共感できないキャラ。

略奪婚してる時点であまり好きになれない。

煙草吸ってるし、ウジウジしてるし、いきなり泣いてるし。

シャキッとせんかいと背中ぶっ叩きたくなった。

仕事もテキトーだしな。

そのせいであんなことになったんやろが。

同僚のメンツの悪さには同情するが。

男にも女にもイライラ。

みんな自分のことしか考えてない。

 

タイトルの「感染」は、今だったらコロナのようなパンデミックを連想するけど、そういうのではない。

そもそもテーマは臓器移植。

そっちが本題。

むしろ「感染」というタイトルはしっくりこないかも。

子どもの臓器移植問題については胸がしめつけられる思いがした。

子どもの焼死体や遺骨など、ショッキングなワードも登場する。

 

クライマックスがちょっと荒かった印象。

慌てて終わらせた感がある。

でも全体的に読みやすかった。

医療ものだけど難しい用語はほとんどなかった。

内容を忘れた頃にまた読みたくなる。